
医療の発展に伴って、従来は数日から一週間以上の入院が必要だった手術も、現在ではそのいくつかは日帰りで行えるようになってきています。患者さんにとっては医療費の節約ばかりではなく、入院という"重大事〟にせずに治療が可能になり、またより気軽に治寮に取り組めるようにもなってきました。
日帰り手術は1980代から、アメリカで急速に発展したものです。日本では大和徳洲会病院と同じ徳洲会グループの湘南鎌倉総合病院が1996年に日帰り手術センターを開設し、日本で初めての日帰り手術をスタートさせて話題になりました。
大和徳洲会病院では1997年9月、湘南鎌倉総合病院に続いて全国で二番目に日帰り手術センターをオープンさせ、積極的に取り組んできた結果、現在では12,000件以上の日帰り手術件数を数えるに至っています。
日帰り手術を可能にしたのは、第一に医療技術の発展といえるでしょう。
特に、小型カメラを体内に挿入して手術を行うことができる各種内視鏡の発展は、従来からだを大きく切開して人間の目で見て行ってきた多くの手術を一変させました。これによって、患者さんの負担(侵襲)を最小限に抑えることができ、しかも従来と同様かそれ以上の治療効果が得られるようになりました。これが日帰り手術を可能にさせたのです。
しかし、医療技術の発展だけでは、決して日帰り手術はうまくいきません。第二に、患者さんの理解が、日帰り手術の実現には欠かせないからです。
「日帰り手術」というと「入院しないで治るもの」と思われるかもしれません。「手術が終わって家に帰れるということは、すなわち治ったのだ。これでいつも通りの生活ができる」と思ってしまうのです。しかしこれは間違いです。
内規鏡などを使った、患者さんのからだに負担の小さい手術でも、手術はあくまでも手術です。からだに創(きず)をつくって、からだの一部を切除したり削ったりするのは入院が必要な手術と同じです。麻酔から覚めたあとは当然身体が痛みますし、創口から出血や感染などが起こらないように、十分な安静と管理が必要です。ただしそれは特別に難しいことではなく、いくつかの注意事項を守れば、医師や看護師がすぐそばにいなくても可能だということです。確かに創口は痛みますが、病院で寝ていても家で寝ていても同じように痛いのならば、病院にいるよりも患者さんとしては自宅で過ごされたほうが安心できますし、入院費用などの経済的負担なども抑えられる、ということで行われているのが日帰り手術なのです。
したがって、日帰り手術は、退院したあとはすべて患者さんが自己管理できる、ということが前提なのです。そのために必要な要件もいくつかあるでしょう。
さらに医療的な面を何もご存知ない患者さんが、しっかり自己管理できるようになるには、病院側のサポートも欠かすことができません。日帰り手術センターを院内に設置し、そこに日帰り手術を受ける患者さん専任の看護帥(ケア・コーディネーター)が常駐していることもまた、日帰り手術を成功させる必要不可欠な要素の一つです。
「日帰り手術」という言葉のイメージから患者さんは、ただ楽で、痛くなくて、入院なしで手術が受けられるものと単純に思ってしまいがちなのも当然かもしれません。しかし実際には、私たち医師や看護師とともに患者さん白身も医療を選択し、さらに一緒に参加するという意識が必要なのです。
もちろん、患者さんが「どうしても心配だから入院したい」と考えれば、日帰り手術という選択もなくなります。当然、病院側や医師の都合で患者さんに日帰り手術を押しつけるのは、まったくの本末転倒になります。病院側の一つのサービスとして利用していただくために、患者さんにも知っておいていただかなければならないことがある、ということなのです。
本コンテンツは、大和徳洲会病院において一般的にどのような手術が日帰りで行われているのかということを、対象となる症状やその手術内容、注意点などと共に紹介しています。一人でも多くの読者のみなさんに日帰り手術についての認識を深めていただき、この価値あるシステムをうまく地域医療の中で広めていきたいと願っています。
なお、本コンテンツで「日帰り手術」として紹介している術式には、一泊二日の入院で翌朝の診察後に退院するようなケース(24時間以内の退院)も含めています。