消化器内科 医師インタビュー

思い込みを持たずに、適切な診断を行う

私は浜松医科大学を卒業後、福島の病院での研修を経て、消化器内科の専門医として帝京大学ちば総合医療センター等に勤務、四半世紀に渡り、内視鏡の進化を見てきました。現存する内視鏡は、ほとんど全て使ったことがあります。

豊富な治療経験には自信があるものの、日々の診察においては、消化器の病気ではないかもしれない、ほかの疾患の可能性もある、という視点は忘れずに診察するようにしています。極論ですが、甲状腺が悪いとわかっていて病院に来る患者様よりも、胸がどきどきするという主訴から、医師が診断する患者様のほうが多いわけです。あるいは、のどが乾くという症状により糖尿病が判明したり、貧血で来られても、血液の病気はたくさんあります。ですから、常にこの患者様の症状の本当の原因は何だろうか、と先入観を持たずに診察することが大切だと考えています。ベクトルを傾けて診察に当たると、誤診の恐れがあるだけではなく、患者様に無駄な検査等の負担をかけることになるからです。

適切な診断を行うためには、ニュートラルな視点と、ガイドラインのアップデート、他の医師との情報交換などが欠かせません。医療の進歩はすさまじく、数ヶ月で指針が変わることは珍しくないからです。思い込みを排し、日々、最新の医療を勉強することが必要だと痛感しています。

患者様との対話を大切に

患者様との関わりの中でも、話を聞けている、理解できていると思い込まずに、たぶん聞けていないんじゃないか、という態度で、話を聞くようにしています。私自身、口下手を自認しているのですが、患者様の中にもあまりお話しにならない方がおられます。そういう方には、「気になることはありませんか」「余計なことかもしれないけれど、いまこういうことはありませんか」と、なるべく話しやすい雰囲気を作るようにしています。

日本において罹患数の高い胃がんと大腸がんは、早期に発見できればいままでのような開腹を伴う外科手術ではなく、内視鏡手術で治療することができます。外科手術と比較して、患者様への負担が少なく、治療期間も短くて済みます。そういう意味でも、検診の重要性なども、お話しするようにしています。
また、いまはコロナ禍ということもあり、患者様からは「いつになったらマスクしなくてよくなるの?」などと聞かれることもあります。消化器内科としてはC型肝炎の経緯が参考になると考えています。新型コロナウイルスは飛沫感染が主体で、感染力が持続するため、有効な治療法が確率されるまでは、まだしばらくかかるだろうね、といった雑談をすることもあります。直接の治療とは関係のない話から、患者様への理解が深まることもありますので、遠慮せず、何でもお話しいただけたら、と思っております。

日々進化する内視鏡で、最新の医療を

内視鏡手術をする際には、病変の大きさや深さ等を詳しく説明し、患者様の手術への不安を取り除くことを徹底して行なっています。たとえば大腸は、内視鏡で拡大観察したところ、悪性度が低くがんとは呼べない状態でも切除を必要とする場合があります。そうしたときには特に、治療方針をご理解いただけるように丁寧にお話します。近頃は内視鏡手術が広く認知されていることもあり、説明にそれほど苦労することはなくなってきたのは、ありがたい状況だと思っています。

内視鏡は進化が著しい分野で、医療システムの変革期です。肉眼で直接観察しているような高画質を経て、ハイビジョン内視鏡も登場し、いままで捉えることができなかった粘膜構造の変化も微細に映し出すようになっています。いずれはAIが診断を下すような時代も来るかもしれませんが、現状は、映し出される画像から診断するのは医師です。病理上の組織の見え方等、正確な診断を下せるよう、幅広い知識、経験を有していることが大切です。長年続けてきた内視鏡治療体験と合わせ、最新医療への理解を深めながら、取り組んでいきたいと考えています。

できる限り患者様の希望に寄り添って

当院は地域の中核病院として、周辺のクリニック様から最初にご紹介いただける病院を目指しています。患者様の希望をできる限り伺いながら、専門医が責任を持って適切な治療に当たります。

また、大学病院や基幹病院などでポストのある若い医師も多く働いております。治療で困ったときには、徳洲会系列だけではなく、幅広いネットワークを駆使して紹介等も含め、スムーズに行うことができるのも強みのひとつだと考えています。
何かお困りごとがございましたら、ぜひ当院にご相談ください。

Profile
山村 真吾(やまむら しんご)消化器内科主任部長

専門分野

  • 消化器内科

経歴

  • 浜松医科大学卒